カナダでATになろう

このブログはカナダでCertified Athletic Therapist として働く者による留学情報を綴ったものです。

Fall Term 2019 の振り返り

どうも前田です。

期末テストの全日程が終わりました。フー。

この学期も色々ありましたなあ〜。

では行きましょう!

 

Practicum 3

Practicum 3 はP2と同じそれぞれ125時間の最低実習時間が求められます。通年科目ですので、2学期かけて履修します。これがウィニペグ大学ATプログラムのカリキュラム上最後の実習です。求められるのは唯一つ「卒業してすぐCATとして働けるレベルにあること」

昨年から資格試験から実技を削除したことで、現有資格者からの現在のATプログラム卒業生の実力に対する評価は懐疑的なものとなっています。卒業後も600時間の実習を行いほぼ1年かけて資格試験に備えるプロセスを維持してきたCATAが昨年その実技を削除&卒業後の600時間も削除したことで、この卒業後の600時間を含めて得られる実力を在学時に習得しなくてはいけないということになります。要はカナダの各ATプログラムにかかる責任がより重くなったということ。そして生徒に求められる水準も上がったということです。その影響をモロ受けるのがこのP3です。過去のP3から評価基準の変更を行ったりしています。

P3は4月にP3実技試験があります。これが実質の卒業試験です。ここをパスしなければ卒業は出来ません。まだまだ先のようで結構近い未来の話ですね〜。

Field Placement: High School Football Junior Varsity Team

継続

P1からずっと同じ高校で実習を行ってきました。冬はレスリング、春はラグビー、そして秋はフットボールです!馴染みのある場所で同じスーパーバイザーに見てもらい続けるデメリットもあるかもしれませんが、自分はそれ以上にメリットを感じてます。自分のフィールドでの成長を全て知っている人がいることで、卒業後の仕事やインターン探しの際にはっきりと推薦人のところに名前を載せることができます。自分の友達の中には各実習で場所が変わって、誰にすればいいのか迷う人もいます。

教員を Reference に載せることもできますが、やっぱり職場は実習先での振る舞いや能力を重視しますし、教員はそこまでの各生徒のことを把握するのは難しいです。

さて、人生初のフットボールですが圧倒的に準備がかかるスポーツですね、ほんとに。練習1時間前に来てテーピングや怪我の評価やトリートメントして、練習後は起きた怪我の評価とトリートメント。自分はJVチーム担当でシニアチームではないので、そこまでケアに対するコミットメントが少ない代わりにチーム専属は自分一人です。主に15−16歳を相手にするので、怪我への耐性と怪我の表現力が低いことに苦労しました。言ってることの一貫性のなさに苦しみました(笑)

人生初のスポーツ

一応実習先から誘ってもらってフットボールを決めたのですが、フットボールを引き受けた理由はCFLへのインターンの為です。インタビューで言われたフットボールの経験が無いという指摘は、自分の中で結構響きました。そんなこと関係ないと言わせるだけの実力がP1始めたての去年にあれば良かったのですが、まあありませんでしたね。明らかに。

もちろんいわゆる高校レベルのフットボールに過ぎませんが、それでもスーパーバイザーの経歴を見ればCFLで働くにはどうしたらいいのか学ぶことができます。彼は CFL Winnipeg Bluebombers の元アシスタントATでした。なのでこのP3でのフットボールは本当に大きな経験でした。訳がわからないほどけが人が続出したり、ATが自分のみなのでテーピングで長蛇の列が出来て焦ったことも今ではまあ笑い話。

タイムテーブル

基本的には、2時半に授業を終えてすぐ車に乗り、3時から準備&テーピング開始、4時に練習開始、6時半に練習終了、大体7時半頃にケア終了、8時過ぎに家に到着です。スーパーバイザーは怪我報告等の処理をして9時に学校を出るそうです。彼はまだ幼い二人のお子さんがいるので、家に帰るのが遅くなるのが辛いと常々言ってて、これが本物のファミリーパパかと感動しました。自分の感覚とは全く違う...

これを平日ずっと、試合は基本平日でより帰るのが遅くなることがほとんどです。唯一つ、カナダってやっぱりいい国だなと思ったのは土日は休みなんですよねー。多分高校レベルだからなんでしょうが。

全てを総合して評価すると、最も勉強になった INTENSE な実習でした。多くの失敗をしてそこから学ぶことが出来ました。Field Assessment はむずい。

最終実習時間は187時間でした。

Clinical Placement: UW Athletic Therapy Centre

大事な大事なクリニック実習です。カナダのATはクリニックでこそ輝くので。

二人のスーパーバイザー

 一人はP2の時からお世話になっている女性のスマート過ぎるATで、彼女のやり方に慣れているのでそこは普通に慣れました。ただ、P3ということであえて放置気味にしてくれて、そこから自分で評価から色々全部やって学ぶことが多くありました。ただ、この方のやり方に自分が深く染まりそうな気がして、ちょっと悩んでたこともあります。

もう一人はこの秋から大学に戻ってきたプログラムディレクターの Glen です。留学を決める要因になったこの先生のもとで実習できるとは、実習コーディネーターに感謝です。彼の下で働いて本当に思うのは「ATという仕事への情熱」です。情熱の高さが生徒への厳しさ、求めるレベルの高さに繋がり、本当に最初は圧倒されます。

「これくらい知ってて当たり前だ」

彼のこの雰囲気で実習中は緊張感を持って自分は一生懸命頭フル回転させてました。わからない時は同じP3生とお互いに助けあって答えをひねり出したり。まずは自分でやってみて、そこから彼からの理論的かつ時々心を抉る(笑)アドバイスを貰えます。でもどんなに厳しいことを言われても辛くないのは、そこにその人の成長を本当に願っているのがわかるからです。最終的にわからなくても、彼は最後には解説してくれます。この解説が本当に圧倒されます。知識量が尋常じゃない、そして論理的かつわかりやすい。あーこの領域に達したらATマスターと言われるのかもなと思いました。そして怪我の原因を探る執着心が半端ないです。

彼の期待の形

これは同じ実習シフトの人が言ってたのですが、Glen が自分たちP3に期待しているのは、Patient が来たら Glen がチャート(カルテ)を取る前にババっと奪い取り、率先して評価を開始して、そこから全部自分で判断してやるという姿勢です。その後に Glen の介入が入ってフィードバックを行う。

今のところ自分は全てのプロセスを自発的に進めることは出来ますが、途中でちょこちょこアドバイスを貰っているので彼の望む姿にはまだまだ届いていません。

これが欲しかった

4年前の夏にカナダに来て思った「俺この人の下で学んでみたい!」という願いが叶った上に予想以上に面白い実習になっていることに心から自分はラッキーだと思いたいです。おそらく向こうは「不出来な奴だな本当に、、、」でしょうけど(笑)

スタイルの違い

2人のCATの下で働いて明確だったのが、二人の Treatment 方針の違いでした。一方はほぼと言っていいほどマッサージやSoft tissue release等の Soft tissue へのアプローチを行った後にエクササイズ処方やインソール調整等の解決策を練りますが、もう一方は必要な時以外はPassive な Soft tissue へのアプローチを取らず、即エクササイズやストレッチに移行します。この違いを知ることも自分にとって大きな勉強でした。

クリニック実習充実してます!

 

P3はまだまだ冬に続きます!場所やスポーツを変えて!

KIN-1601 Nutrition

なぜ今これを受講しているのかと友達に聞かれます。はい。

一年生の初学期に履修するような授業です。。。

「栄養のこと一辺倒な授業なのかな〜」「今更基礎暗記科目はだりーなー」と思ってたんですが、ありがたいことに Human Physiology 的な内容が半分以上を占めてました代謝やATP産出とかもうそこは、Human Anatomy & Physiology, Human Physiology, and Exercise Physiology に加えてCSCSの夏の勉強で何度もやった内容なので楽でした。逆に純粋な栄養についての内容は基本暗記なので、ボロボロでした(笑)。ビタミンとか何種類あんのよ〜(笑)。

自分が選んだ授業のセクションが週一で夜6時から3時間というもので、休むことのリスクが大きいのですが、なんと!実習のアメフトとダダ被りでした。なのでほとんど出席してません(笑)。一応学期の初めに事情を説明をしたので大丈夫でしたが、空いてる時間に講師のオフィスを訪ねて課題について質問してました。

2大課題

学期全体で2個のそれぞれ Mid-term break 前と後であるんですが、基本的には自分の食生活を評価するというもので、まあ本当に時間がかかる課題でした。計算やって、表作ってその食生活を評価して、その改善点を書いてと。

かったるいけど、成績への配分がかなり大きいので手抜きできないという。

ちなみに自分の食生活はやはりボロボロでした(笑)カナダは太るって〜

テスト

全て Multiple Choice です。選択式なので確率4分の1。最後は好きな番号3をひたすら選ぶという、、、。本質は小学校時代から変わらない。 

KIN-4301 Applied Anatomy

留学4年目にして Glen の授業を初受講。

この科目は以下の3つの内容(Module)に分かれます。

  1. Neuroanatomy
  2. Radiology
  3. Palpation

1. Neuroanatomy & Concussion

Brachial Plexus, Lumbar Plexus, and Sacral Plexus にある神経の位置と名前とそれに付随する筋肉を覚えましょう!

シンプルです。暗記です。 課題とテストがあります。前田は頑張って覚えようとしましたがボヤーとした感じのまま受けて大やけどしました。。。

Concussion はまずは Cranial nerve  (脳神経) の機能解剖を復習&新知識を学び、そこからどう脳震盪に結びついてどういうテストでその障害を判別するかを学びます。そして実際にウィニペグ大学の Athletics で使われている ImPACT という脳震盪評価ツールを実際に使ってみてレポート課題して、最後は全部含めた中間テストがあります。

Cranial nerve の暗記方法ってみなさん知ってますか?自分は1年生の時に Human Anatomy & Physiology の時に見つけた覚え方を相変わらず使ってます。。。興味のある方は医学生の方?がやってるサイトで見つけてください。覚え方に関しては見た方の自己責任で(笑)

2. Radiology

 これは要は放射線技師になってみようということです!X-ray, CT scan, MRI の画像を解釈しよう!各 Structure の言い当ててみよう!

というものです。普通に普段目にする Imaging はいつもRadiologist による解釈があるのでそれを読むだけで十分ですが、Therapist としてそこは身に付けておくべき教養ということです。

 結構難しくないなーこれはテストイケるかな!と思ったらいつもの前田の法則発動。普通にやらかす。でも本当に難しくはないです!面白い見方の解剖学の復習になりました。

3. Palpation

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これが有名な Palpation のクラスでして、これを自分はやりたくてしょうがなかったです!誰かが Glen といえば Palpation! と言ってたのを覚えてます。どういう風にすれば各部分を適切にPalpation できるかというのを学びます。

実技テスト

55のBody Structure のリストがあり、その中の10個をランダムに引き当てて用意されたモデルのおじさん相手にブスッとPalpation して、どういう手順でその Tissue を触ることができるのか、そのstructure の関連知識をひたすら喋ります。コンセプトは「一般人である試験官に赤子のように説明する」です。このモデルが普通にGlen の友達ATで、その触っている箇所とPressure が正しいか判定します。

もう既に結果を知っているので言います。

大爆死しましたーーーーーーーーわーお

どれくらいかというと、試験後のフィードバックでGlen に真顔で "You messed up" と言われるほど。いやあもう、終わった後頭が真っ白。みんなはそんな難しくなかったわ〜とか言ってる時冷や汗ダラダラ。

最終総合成績もさっき出ました。グレンめっちゃ仕事はえー。

え?結果。まあマジノー勉で勘でやった割には悪くないみたいな?(高校の時こういうのいた)

KIN-4501 Injuries of Spine

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さあ大トリのSpine。本当にこの科目は鬼門、いや教授が鬼門(笑)。さあ担当教授は誰でしょう?

答えは、、、、BEN です。わーい。みんな大好きベンおじさんだよー。

このクラスは Glen の Applied Anatomy と同じ4000レベル=つまり4年生の科目なので最低成績Bとかありません!!!!!!←ここ大事

なので50%の成績でPASSすればよろしいんです。

どういうことを学ぶか?

Cervical, Thoracic, Lumbar Spine の怪我の評価とエクササイズ指導の習得が目的です。なので、Assessment とRehabilitation の両方をパスした上での4年生科目ってことですね。

まあ Spine injuries って多くが腰痛&肩こり=現代病ですもんね。ってことはSpine injuries をマスターできればまあ金稼げるってことですからね。テクノロジーが進めば進むほどみんな姿勢が悪くなっていくから Therapist はウハウハになるでしょう(笑)。これは学ぶ意欲が高まってしょうがない!冗談はそれくらいにして、、、

え?これはさすがに、、、の中間試験

たいていBENの科目ってクラス平均点数低いんですよ。んで、中間テスト解き終わった後は「まあまあかなあ」といった感じだったんですが、結果見て固まる。洒落にならない結果。

どういうことかはわかりますよね?(笑)。

そして Final Written Exam & Final Practical Exam

筆記はわぁ〜。う〜ん。わかんない。みんなで答え合わせしたら意見まとまらないんだもん。何が正解なんだろね?とみんな苦笑い。ベンのテストは本当にこんなことだらけなんです(笑)まず問題文の言ってる意味がわからないこともしばしば。

ただ、明確なことはベンの採点は加点法。つまり思いついたこと全てを書くことが鍵!

今回も感触的にはまあまあかな?←かなり怖い兆候

実技試験がエグい?

フォーマットは2つのパートで構成されます。

1. Assessment 25分
  • History taking => Indices of suspicious (3)
  • Postural Observation
  • Gait
  • Clear out joint above and below
  • AROM, PROM, and IROM,
  • Neuro tests (If applicable)
  • Special tests
  • Palpation
  • Differential assessment (怪我の最終評価=結論)

これが評価の手順一覧です。

本当に多くのことをしないといけませんし、ただするだけじゃなくて正しい方法でしなくてはいけません。さもなくば、モデルの人からのフィードバックや天井からの録画映像で細かい所をリビューして減点となります。

とにかく時間が足りない。学生ATにとってはここが一番キツイところです。実習でやっていても、25分では最後までたどり着きません。そこを友達とシミュレートして練習して練習して練習してやりました。

本番は25分以内にギリギリ間に合いましたが、いくつか抜けている/不十分な要素があったのでそこがかなり気がかりです。友達は残り5分のアナウンスの時まだPROM だったと青ざめた顔で言ってました。。。

2. Treatment& Rehab 15分

 Treatment は実際にやるわけでなく、口頭で自分はこういう理由でこうゆうTreatment を選択しますと説明します。例えば、ホットパック10分して首の筋肉の血液循環を上げて、痛みを減らします〜みたいな。

そこからメインのExercise Prescription に移行です。

ベースのシナリオは2回のアポイントメントというものです。

一回目はAssessment の直後というシナリオ。Acute なのか Subacute なのか、それとも Chronic なのか自分で導き出した評価を基にした Exercise を患者に提供します。

二回目は Follow-up appointment で、一回目と二回目の間隔はトリッキーですが患者との会話でヒント (EX.大会が五日後にある) が出るのでそれをなんとか引き出して決めます。そして Exercise を前回から Progression させて、Sport-specific にさせればいっちょあがりです。各Exercise には必ず具体的な Parameter を言わないと減点です。

【番外編:Sport-specific とは】

 以前リハビリの授業で自分がSport-specific って何なん?やる意味あんの?ということを述べていましたが。今回この授業をやっていくうちに理解できるようになりました。

見る観点が最初からズレていた

なぜ自分がSport-specificity に疑問を呈していたのかというと、どこかにそんなんで競技力上がんねーよという考えがあったんです。でもこの考えはATの考えでは無いんです。S&Cコーチの視点だったんです。お恥ずかしいことに自分はそれを無意識にごっちゃにしてたんです。ATのリハビリにおいては MOI に似ているストレスを意図的に加えることで競技復帰のタイミングを図り、その上再発を防ぐ意味合いもあるんです。

うわー。気づくの遅かった〜。恥ずかしい〜。変にSCかじって勘違いしてた〜。

競技力向上じゃないのよ〜。結果的にはそうなってもいいけど目的にはならない。

一年遅れた理解でした(笑)。

 

このSpine の結果はおそらく来年1月の上旬にわかると思うので、それまでは不安な日々を過ごしますが志高く!「頼む!50%は上回ってくれ!」という思いで待ちます。

まとめ

この学期は初めて実習+通常学期での授業でした。平日が朝から晩まで小忙しい感じで土日も何かと予定が入り、勉強へのモチベーションが正直低かったです。これがAT学生の苦難なのかと痛感しました。本当は Applied Anatomy もSpine もNutrition も実習が無ければ絶対成績伸ばせていたと思います。でもこの時間管理での苦難も将来へと繋がる大事なスキルなので良い経験でした。実習しながら新しいことを学ぶのも実践的でかなりメリットありますね。それは強く感じました。学んだことを次の日の実習で試すなんてこともしばしば。

本当に成績アップへのモチベーション低下だけが唯一の心残りでした。 

ではでは〜。年内に次の投稿するかわかりませんがよろしくお願いします〜。