カナダでATになろう

このブログはカナダでCertified Athletic Therapist として働く者による留学情報を綴ったものです。

カナダのAT界隈で今ホットなお話

どうも前田です。

転職活動中なのですが、なんていうかですね。。。

この国のスポーツってホッケーしかないの?って思うくらいホッケーチームの仕事にしかチャンスを見いだせていないような気がしてる今日この頃です。

最近はせっかく無職になったんだし、バンクーバー観光しようと思ったら中々元所属チームとの揉め事が収まらず、州のレストランの店内飲食禁止令もあって全く観光できてません!

あーーーーーーストレス。転職活動で不安な心に響く。

さて、話題に移ろう!

 

NHLプレイオフでそれは起きた!

まずはこの動画を見てください!


www.youtube.com

 

頭にスピードに乗った相手チーム選手の膝蹴りというアクシデントがあったんですが、自分が注目しているのは、この時のATの行動です。

なんか一般の皆様がこれを批判しているらしい。

このビデオを見るとお分かりの通り、怪我した選手が膝立ちから立ち上がろうとして、フラッとバランス崩して後ろに倒れて慌ててATが救急隊員を呼んだシーンがあります。

これをとある一般の方々が、「この対応は失敗だ!!!」とおっしゃいますが、自分的にはこの状況の大変さが同じアイスホッケーのATとして分かります。もちろんプロとして、全てのリスクを想定して行動すべきなのは大前提ではあります。

まず、この主に処置を行っている Maple Leafs の Head AT さんの行動を見てみましょう。彼とはお会いしたことはありませんが、飛び込みのメールに返信してくれた優しい御方です。しかもマニトバ大学の出身!!!親近感しかない(笑)。

以下起こったことを時系列で。

  1. うつ伏せ (Prone) で頚椎(首)を固定(これをずっと最後まで)
  2. うつ伏せのまま、問診してたはず(まず首のことと脳震盪のこととか)
  3. ところが、選手が「I'm OK」とか言って勝手に立ち上がろうとして膝立ちになる。(前田の予想)*この時も頚椎は固定してる
  4. そしてバランス失った選手が後ろに倒れて、アシスタントATが後ろを慌てて支える。この時 Head AT はなんとか動きについていっての頚椎固定を試みる
  5. Head AT が握りこぶしを上げて会場で常に待機しているEMS(救急隊員)を呼ぶ。
  6. EMSおよび相手チームのメディカルスタッフも駆けつける。(これホッケーの良いところ)
  7.  頚椎固定をアシスタントに任せて、おそらく Head AT もしくはEMSの人が 問診かSecondary Survey (神経系とか筋骨格系とかのチェック)してる。
  8. ホッケーのスケート靴用にアレンジされたパカッと割れるスパインボード(担架のようなもの)に載せて、ストレッチャーで移送

といった感じですね。

批判されている場面について

ホッケー選手の傾向

これすごく分かります。アイスホッケー選手って「タフなところを見せること/タフであること」にすごく重きを置いています。そしてケガしたばかりのアイスホッケー選手が冷静に人の話を聞いてくれる確率低いです。競技力高い選手ほど本当に話を聞かない(笑)。

自分も一ヶ月前の短縮シーズンにおいて「いいから俺に怪我の評価させてからアイスに戻りたきゃ戻れや!!!!!」と試合中喧嘩になったことがありました。まあその選手はその時まず歩けなかったんですよ(笑)なのに、俺は戻るとか言ってコーチのところ行こうとするからキレました。結果OUT.

怪我、痛みに弱い。こういう姿勢をアイスホッケー選手はアホみたいに嫌いますし、相手チームとのトラッシュトークに使われます。コーチも言うからなぁ〜、あ〜ヤダヤダ。

おそらく、この選手も 「I’M OKAY」 という私前田がホッケー選手が言う言葉で一番信用していない発言をした上でいきなり動いたことでしょう。これはまじでしょうがない。止めようがない。

ATからすると評価(問診)の途中でいきなりアイムオーケーとかほざいていきなり立ち上がろうとするから、そりゃ慌てますよ。

体格考えよう

NHL選手でかいよ。しかも全身ギア着用ですよ。でかいがな、重いがな。あんなのが倒れ込んで来たら、完璧に受け止めるのは難しい。だから傍目からみるともっとどっしり受け止めろよと思うかもしれませんが、みんな次のこと忘れてる。。。

気づいてる?あそこ全部氷の上なんだよ?

マジでホッケーのATしたことないやつらに言いたい。これの大変さ。まずケガしてるところに駆けつけるのもめっちゃ神経使う。常に路面滑るのよ。

だからATみんな膝立ちの状態で対応してますよね。靴は滑るのよ。氷の上で人を支えることの大変さを知ってほしい。まあ勿論我々はそれを含めてプロなんですけどね。

理想を言うと

仮に選手があのように動かなかったとしたら。。。

  1. Head AT が頚椎固定
  2. アシスタントに頚椎固定をスイッチして、とりあえずうつ伏せのままでできるフィールドのクイックな評価を終わらせる(問診&神経+筋骨格系)
  3. 評価を終えて、応援を呼んでログロールして仰向けに持って行く
  4. そこから追加の評価して、スパインボード使ってストレッチャーにて移送

ってなるような気がします。

もしATの方がいたらこれの方が良くない?という意見が聞きたいです!なんかアメリカはもうなんかログロールしないみたいな話を聞いたような。。。

もし自分なら

本音を言うと今回の対応とあまり変わりませんね。ただ、もしかしたらMaple Leafsの Head AT のように自分がずっと頚椎固定するというよりも、すぐにアシスタントATに任せて評価に移るような気がします。そして今回の件は稀なのでしょうがなかったのですが、あの場にAT3人は欲しかったかも。いや、これは稀なケースだから毎回3人な訳無いよな〜。二人でほとんどのことは済むからな〜。

ジュニアホッケーの限界

世界最高峰のNHLだからこそ各チーム3人ものATがいる訳で、自分が働いていたジュニアホッケーレベルでは各チームのゲームメディカルは基本AT一人です。だから怪我がアイス上で連続で発生するようなことがあれば、両チームのATが助け合うのが基本です。だから基本試合全体で2人のみ。今回のようなことが起こったら、多分自分ならコーチと Equipment Manager に助けを求めるな。厳しいな〜。EMSも常駐じゃないし。

結論およびまとめ

あの場でのATの対応は間違っていない!!むしろ、プロとして立派な仕事をしたと思います!もっとCATAもアピールしないと!!!

文句あるなら、てめーらベンの Sports First Responder の試験受けてみろや!!!っと言いたい。試験前に泣き出す子いるほどですし。

という毒を吐いて終わります〜

ではでは。